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津村巧の 未発表(自己却下)小説群
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*津村巧の* *に戻る* |
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ジャパン・レストラン
CONSTIPATION
SOLUTION 便秘解消法 |
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「ほら、さっさと出ろ!」 と、僕は叫んだ。 叫んでどうにかなるものではないが、叫ばずにはいられなかった。 「ほら、ほら、ほら! さっさと出るんだ!」 僕の肛門から屁がプスプスと漏れた。 「違う! 屁じゃねえ! クソだ! クソを出せ、ての」 肛門は屁をプスプスと排出するだけだった。 僕はきばった。身体から中身を絞り出すように。 しかし、肛門は屁を漏らすだけに留まった。 (プスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプス……) 「屁はもういらねえんだ! クソを出せ! ほら、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソだぁっ!」 トイレで無闇にきばるのがよくないのは知っている。ごく自然に出るよう促すのが最適だと。長期間にわたってきばると下腹部に無理な負担がかかり、痔に繋がるのだ。 しかし、きばらずにはいられなかった。 一週間も便秘していたからだ。 ものを食えば当然体内で大便が排泄物として生成される。毎日三食きちんと摂取しているのだから、少なくとも一日に一回大便を排泄するのは当たり前のこと。 それなのに、なぜ出ないのか。 食っている物が悪いのか? いや、違う。食生活がここ一週間で劇的に変化したならともかく、食っている物はこれまで通りだ。むしろ食物繊維を一般人より多く取っているくらいである。 ストレスか? ストレスなんて何年も前から感じていた。ここ一週間でストレスのレベルが激増したとは思えない。というか、便秘そのものがストレスではないか。ストレスが原因で更なるストレスを招いてどうする? 自分の身体がそこまで馬鹿だとは思いたくない。 「ほら! 出ろ! クソを出せ! 分かったか? クソだ。クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、クソだぁっ!」 (プスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプス……) 僕の肛門は頼りない、腹立たしい音を立てるだけだった。 「畜生!」 この日も僕の便秘は解消されなかった。 翌日。 僕は便器に腰を下ろした。今日は出る気がした。腹が重い。 「よし!」 身体の中で何かが下へ向かっているのが感じ取れる。 「よし、よし、よし!」 何かが下へ向かっている。尻へ向かっている。 「よし、よし、よし、よし、よし!」 そして……。 出た。 (ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ……) 屁だった。肛門をブルブルと震わせる大きな屁だった。 大丈夫、これはクソの前触れだ、と自分に言い聞かせようとした。が、身体の中で何かが下っている感触はもうなかった。 ――まさか、そんな……。 僕は少しきばってみた。 肛門は前日同様、屁を漏らすだけだった。 (プスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプス……) 「ほら! さっさと出ろ!」 大便は、いつまで経っても、そしていくらきばっても、出なかった。 (プスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプスプス……) 「畜生! ふざけるんじゃねえよ!」 僕は無性に腹が立った。 もう八日も出ていないではないか。こうなったら掻き出してでも出すしかない。 僕は下半身に手を伸ばした。指先を肛門に突っ込む。 直腸に異物が侵入している感触が伝わるのと同時に、指が生暖かい物と接している感触が伝わった。何とも言えない気分だ。 僕は指を奥へ奥へと突っ込んだ。底なしの穴に迷い込んでしまったかのようである。 僕は指を二本、三本、と入れた。肛門がグワッと広げられているのが分かる。 手がすっぽりと入ってしまった。 「ほら、クソはどこだ? 隠れてんじゃねえよ!」 僕は、大便を求めて腕を奥へ奥へと進めた。生暖かい感触が伝わるだけで、大便に触れることはなかった。 「いい加減に見付かれよ! 隠れるな、て言ってるだろうが!」 腕は肩まで入った。しかし、大便の気配はない。意を決して肩を押し込んだ。肛門が更に広がるのが分かった。ちょっと痛い。しかし、今更やめる訳にもいかない。 「まだ見付からないのか? 畜生、さっさと見付かれ!」 と、僕は叫びながら、更に奥へ進んだ。 大便は相変わらず見付からない。 こうなったら頭ごと入るしかなかった。 僕は数回深呼吸すると、頭を自分の肛門に突っ込んだ。 中は臭いのでは、と恐れていたが、予想に反して無臭だった。湿っている感じだ。暗い。生暖かい直腸の壁が、僕の顔を撫でる。気持ち悪い。 僕は両手で掻くようにして直腸を進んだ。腸に入る。狭かった。グニャグニャと曲がりくねっている。進み難い。腹が痛くなった。 しかし、大便はない。 更に前進した。 「クソッ。どこにもないのか? 人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」 と、その瞬間。幾分広い空間に出るのと同時に、熱い液体らしきものが顔にかかった。 「何だ、こりゃ?」 胃液だ。 胃液は強力な酸だ。下手すると溶けてしまう。 僕は急いで胃を抜け、食道に入った。ここも腸と同様、狭かった。相変わらず暗い。喉が痛くなった。 −−どこまで続くんだ? 前方に白い光が見えた。 −−何だ? 息が苦しくなっていた僕は、そこを目掛けて一直線に進んだ。 (スポン) ふと気付くと、僕はトイレの中にいた。 僕は肛門から口まで、自分の身体の中を一周したのだ。 振り返って考えてみると、大便らしきものと接触しなかった気がする。 ここまでやっても排便できないのだから、本日も諦めるしかない。 結局、この日も僕の便秘は解消されなかった。 いつになったら解消されるんだろう。 |
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